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集落の上の急で植生の乏しい斜面に雨が降るとき、危険は水だけではありません。地盤そのものが崩れ、斜面の小さな崩壊が土石流となって沢を下り、出口の家々に達することがあります。それを住民や警戒の判断を下す人に伝えるのは、静的な地図では困難です。
このツールは、それが起きる過程を見せます。対象範囲をKMZで与えると、地図から地形を取得し、豪雨を一段ずつ進めます。雨のうちどれだけが流出するか、残りを土が吸い込むにつれてどの斜面が不安定になるか、そこから土石流がどこへ流れるか、そして住宅・学校・医療施設・道路が、累積何mmの雨で初めて影響を受けるか。
この記事のポイント
- 流出はSCSカーブナンバー、斜面崩壊は無限長斜面とモンテカルロ法、土石流は到達角。いずれも標準的で文献のある手法です。
- KMZの曝露要素ごとに、限界雨量とその原因(崩壊・土石流・流出)を求めます。CSVとGeoJSONで出力できます。
- 雨がなくても崩れる斜面は別に表示します。雨量の閾値では表せないからです。
- ブラウザで数秒で動き、IFCモデルは不要です。参考値であり、公式のリスク評価に代わるものではありません。
チョシカのキリオ沢、40mmの豪雨の終わり。地形は実際のもので、目印はこの例のために作ったものです。
入力するもの
- 対象範囲のKMZまたはKML:範囲を示すポリゴン1つ(「対象範囲」「境界」「流域」などの名前、または単に最大のもの)と、曝露するものの目印。点・線・ポリゴンを、フォルダの有無にかかわらず読み込みます。
- 地形:地図の起伏、または読み込んだDEM(GeoTIFFまたはASCIIグリッド)。IFCモデルを読み込んでいなければ、KMZ自体がシーンの位置を決め、地図が対象範囲で開きます。
- 豪雨:浸水パネルのプリセット、または手描きのハイエトグラフ。
- 土質:水文学的土壌グループ、先行降雨条件、粘着力、内部摩擦角、土層厚、単位体積重量。急斜面の残積土を想定した既定値を編集できます。
曝露要素は、フォルダ・名前・説明・データから判別します。「vivienda」「I.E.」「colegio」「posta」「centro de salud」「carretera」「trocha」や、他言語の同義語です。名前のない線は道路とみなします。KMZがなければ、学校・医療施設・住宅・名前のある道路をOpenStreetMapから取得します。
各ステップの計算方法
| 段階 | 手法 | 得られるもの |
|---|
| 流出 | SCSカーブナンバー(TR-55)。CNはOpenStreetMapの土地被覆と土壌グループから | これまでの雨のうち、流出する量と浸透する量 |
| 湿潤度 | 浸透水を土の有効間隙率で割ったもの。上流から水を集める凹地ほど大きい | 土層の飽和度(セルごと) |
| 斜面崩壊 | 無限長斜面の安全率。c′、φ′、γ、土層厚を200回モンテカルロ抽出 | 斜面が崩れる確率 P(FS < 1) |
| 土石流 | 想定崩壊地点から最急勾配方向へ流下し、到達角(既定12°)で停止 | 流れの経路と停止位置 |
| 限界雨量 | 要素のセルが崩壊する、土石流が通過する、または流出深を超える最初のステップ | 要素ごとの雨量閾値とその原因 |
カーブナンバーは、その時点までの累積雨量に対する流出深を与えます[tr55]。流出しなかった分は土に浸透して地下水位を上げ、上流の広い面積を集める凹地ほど早く上昇します。次に無限長斜面モデルが、土の強度と斜面上の自重を比較します。水は摩擦を弱めます[hammond]。土質定数を正確に知ることはできないため、各値をその周りで200回抽出し、斜面が崩れた割合をその確率とします。
土石流は、雨によって斜面が崩れた地点から始まり、最も急な経路を下ります。発生源から先端までを結ぶ線が到達角より緩くなったところで止まります。到達角は、土石流が到達する落差と距離の経験的な比です[corominas]。
豪雨を一段ずつ見る
タイムラインは豪雨を一段ずつ再生します。降り始めの数ミリでは目立つ箇所はわずかですが、豪雨の終わりには沢の上の急斜面がオレンジや赤になり、そこから谷底まで土石流の経路が伸びます。曝露要素のラベルは、影響を受けた段階で赤に変わります。
豪雨の最初の段階。紫:雨がなくても崩れる地盤。
累積250mm後。雨が限界値に達するとラベルが赤に変わります。
さらに2つのレイヤーで連鎖の各部分を見られます。「流出」はこれまでに流出した量で地面を色分けし、水系網を浮かび上がらせます。「土石流」は、想定される崩壊からの流れが通る場所(薄茶)と止まる場所(濃茶)を示します。
累積約120mmの流出。水系網がはっきり見える。
試験雨量をすべて降らせた後の土石流の経路と堆積。
雨がなくても崩れる斜面
この例では既定の土質で、一滴も降らないうちに13.6 haが崩れます。その強度の土には急すぎる斜面で、実際には岩盤や崖であることが多い場所です。雨が不要なので限界雨量を与えられず、数に入れると崖下のすべての要素の閾値がほぼゼロになってしまいます。そのため紫で表示し、閾値を設定せず、土石流の発生源にもせず、その上にある要素には印を付けます。SHALSTABの「無条件に不安定」なクラスにあたります[shalstab]。重要な場所では、土質定数を現地調査から得るべきです。
限界雨量の表
表はすべての曝露要素を、影響を受けやすい順に並べます。何mmの雨で、何によって影響を受けるか。既定のパラメータでの例:
| 要素 | 限界雨量 | 原因 |
|---|
| Carretera Central(区間) | 1 mm | 土石流 |
| I.E. Inicial 520 | 7 mm | 崩壊 |
| I.E. N° 1201 | 70 mm | 崩壊 |
| Puesto de salud Quirio | 90 mm | 流出 |
| 住宅(3グループ) | 140 mm | 流出 |
1mmで影響を受ける道路は、1ミリの雨で寸断されるという予測ではありません。道路が通るセルが、このモデルで平衡の限界にある斜面の下にある、つまり最も影響を受けやすいクラスだという意味です。それがこの表の価値で、まず何を監視すべきかの順位を示します。過去の災害と地域の土質で較正すれば、このような値が早期警戒の基準雨量の土台になります。表はCSVと、QGISやGoogle Earthで開けるGeoJSONで出力できます。
できないこと
- 雨を予報したり、斜面がいつ崩れるかを示したりはしません。与えたパラメータのもとで、各地点がどれだけの雨に耐えられるかを示します。
- 地域全体に単一の土質を不確実性付きで使い、地質図は使いません。露岩、崩積土、盛土の区別はしません。
- 浸透と地下水は簡略化しています。時間を通じた側方流や、豪雨間の排水は扱いません。
- 全球の地形(約30m)は小さな沢や急斜面を平滑化します。地域のDEMを使えば勾配の精度が上がります。
- 公式のリスク評価、現地調査、早期警戒システム独自の較正に代わるものではありません。
参考文献
- Urban Hydrology for Small Watersheds (Technical Release 55) — USDA Natural Resources Conservation Service. カーブナンバー法と、土地被覆・水文学的土壌グループ別のCN表。
- Level I Stability Analysis (LISA) Documentation for Version 2.0 — Hammond, Hall, Miller & Swetik, USDA Forest Service. 不確実な土質定数を用いた無限長斜面の安全率を、モンテカルロ法で評価。
- 浅層崩壊の地形的制御に関する物理モデル(A physically based model for the topographic control on shallow landsliding) — Montgomery & Dietrich, Water Resources Research 30(4). 地形と無限長斜面から求める限界雨量と、「無条件に不安定」なクラス。
- 大小の地すべりの移動性指標としての到達角(The angle of reach as a mobility index for small and large landslides) — Corominas, Canadian Geotechnical Journal 33(2). 土石流などの崩壊の到達角(H/L)。
DEMとKMZから土砂災害の限界雨量をブラウザで算出